『シネマの記憶喪失』

8)『シネマの記憶喪失』(阿部和重中原昌也) 文藝春秋

シネマの記憶喪失
 連載中は毎号楽しみにしていた『シネマの記憶喪失』が単行本化されたので即購入。ただし、特に単行本化に当たって追加された項目はなく、2200円と高い割には連載をそのまま並べただけなのは不満。
 それでも、阿部和重の『映画覚書』枠が『シネマの記憶喪失』に変わり、中原昌也のあまりのシネフィルっぷりに、とうとう今や中原昌也が好き放題にやってる枠へと変貌を遂げる軌跡として読んでも良い。

1 微妙であることの意義――『レイクサイドマーダーケース』と『アビエイター
2 感情移入なんて知るか!――『クライシス・オブ・アメリカ』と『エターナル・サンシャイン
  3 「今年のベストワン」その一――クリント・イーストウッドミリオンダラー・ベイビー
4 「今年のベストワン」その二+掘り出しもの
――『ライフ・アクアティック』と『キャビン・フィーバー
5 やっぱり上品と悪趣味の間が大事じゃね?
――『メリンダとメリンダ』と『おわらない物語 アビバの場合』他二本
6 同部屋対決!――『宇宙戦争』と『スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
7 自由・平等・幸福の追求――ジョージ・A・ロメロ『ランド・オブ・ザ・デッド
8 二つの葬送――『アワー・ミュージック』と『ランド・オブ・プレンティ
9 怒りの日――『ロード・オブ・ドッグタウン』と二つの企画上映
10 ジョン・ヴォイドの時代――『ドミノ』と『TAKESHIS’』
11 お正月映画祭り/前篇
12 お正月映画祭り/後篇
13 (特別篇)「妊婦の腹」と「男の涙」――『ミュンヘン
14 変態たちの共鳴――『ヒストリー・オブ・バイオレンス
15 二つのアメリカ史――『グッドナイト&グッドラック』と『ニューワールド』
16 リセエンヌになりたい――『キングス&クイーン』とその他諸々の作品
17 本気汁出まくりの映画たち――『M:i:Ⅲ』と『やわらかい生活
18 ドキュメンタリータッチという形式と再現の問題――『ユナイテッド93』と今村昌平
19 夏休み映画祭り
20 死体と語らう――『LOFT』
21 ふるえて眠れ――『レディ・イン・ザ・ウォーター
22 喪失不可能なる記憶――『ブラック・ダリア