『STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2007年 03月号』『ダ・ヴィンチ 2007年 03月号』

13)『STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2007年 03月号』
14)『ダ・ヴィンチ 2007年 03月号』

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2007年 03月号 [雑誌] ダヴィンチ 2007/03月号
 13)創刊30周年記念特大号Vol.3で、今回はベスト・インタヴュー50。かなり懐かしいものもあって思わず購入。大島渚とか若松孝二×赤塚不二夫対談とか。
 パラパラとめくっていて驚いたのが、新連載の松江哲明『トーキョー・ドリフター』(これって、ボイスの6年前の東京で撮影された映画のロケ地を特集した号と同名タイトル)。最近は聞いたことも直ぐ忘れるから、誌面を見るまで完全に忘れていたが、ボイスの連載ってのは、これのことかと。1ページ丸々の連載なのにびびる。で、内容が良かった。何の予備知識もなく、油断したまま読んだので、素のリアクションになってしまったが、まるで松江監督の新作ドキュメンタリーを観ているようだった。こんなテンションで連載やるのかと心配になるぐらいだったが、一読の価値あり。
 読んでいて思ったのは、自分は単純に個人主義者で、国家も民族も一切興味が無いので、一応今のところ日本人らしいものの、日本人として云々という物言いをすることは全く無い。敢えて言えば、日本映画を多く観ているという極めて愛国主義的行動を自発的に取っている見上げた愛国者だと我ながら思うのみだが(そんなことは日本人として当たり前のことだと言うヒトが以前居たので、では昨年何本日本映画を観たかと問うと20本と答えたので、この非国民が!150本は最低観ろと言い返した)、普段からそういったことに拘っているヒトなら兎も角、唐突にそんなことを言い出すヒトには、何で急に言い出すのかと疑問に思うことがここ数年で急激に増えた。映画に引き寄せて言うが、『Alwasy 三丁目の夕日』や『日本沈没』の感想を、女の子が泣いたとか傑作だと言うのは個人の勝手だとして、そんな子がドサクサに紛れて「日本人に生まれたことを誇りに思える映画でした」なんて言うのが不思議で、そんなことを思うような映画じゃないだろ、と。『大日本帝国』なり『プライド 運命の瞬間』なりを観て言うならまだしも、こんな映画でそんなこと言うか、又はそんなこと思いながら映画観てんの?と。軽薄なものしか感じないので、自分は一切関係ないと思うのみだったが、松江哲明は、そういった日本の気分を、個的な箇所から見詰めていく。それも嘗て『あんにょんキムチ』で民族を自覚し、アイデンティティを探る過程を作品化したヒトだから、単純に自身の立ち位置からの嫌悪感ではない。この連載、ケッコー面白そうだ。後は文筆活動が増えて、作品を撮らなくなった誰かみたいにならないで欲しいと思うのみ。