『クレージーの怪盗ジバコ』

molmot2007-02-08

3)『クレージーの怪盗ジバコ』 (TV) ☆☆☆★

1967年 日本 東宝=渡辺プロ カラー スコープ 110分
監督/坪島孝     脚本/田波靖男 市川喜一     出演/植木等 谷啓 ハナ肇 犬塚弘 桜井センリ 石橋エータロー 安田伸 浜美枝 東野英次郎 豊浦美子 進藤英太郎 青島幸男 立川談志 木の実ナナ 青山ミチ 人見明 小松政夫 藤田まこと 
 
 クレージーシリーズを製作順に並べてみると、作品の動向がある程度伺えるが、個人的にはやはり坪島孝より古沢憲吾と思う方だし、後期の『クレージー黄金作戦』と『クレージーメキシコ大作戦』の間に挟まれた作品というだけで、より傾向ははっきりするが、一般的には原作の北杜夫が憤慨した失敗作と言われることが多い本作だが、個人的にはそう嫌いではない。
 古沢憲吾の『大冒険』のような豪快な演出であればもっと巧く処理できたのではないかと思う箇所はあるが、『大冒険』共々、『ルパン三世』の実写版的思いを馳せながら観ていると楽しい。マスクを脱いで顔を変えたり、検問を刑事に変装して突破したり、海の上まで走って、地面が無いと気付いて落ちるとか、70年代に入ってから製作された凡作の『ルパン三世 念力珍作戦』を思っても、本作と『大冒険』のテイストで実現していないことが惜しまれる。
 本作で驚いたのは、クレージー7人でジバコを演じる趣向(その特色が殆ど活かされていない)ではなく、何故かこれまでも散々出演していた浜美枝が、本作では突出して魅力的なことで、ちょっと驚くくらい可愛い。単純な東宝的BGではなく、下心を秘めた峰不二子的悪女の要素が入っているせいか、とても良い。
 楽曲で印象的だったのは、ゴーゴー・クラブで木の実ナナが唄うザ・ピーナッツの『恋のフーガ』の英語カヴァー。
 相変わらず脚本がルーズで京都への移動処理を駅のアナウンスの「東−京−都」で一発処理するのは良いにしても、各人物の移動が相当いいかげんだった。