『映画秘宝 2008年 05月号』

映画秘宝 2008年 05月号 [雑誌]

映画秘宝 2008年 05月号 [雑誌]

 現在発売中の『映画秘宝 2008年 05月号』の追悼特集『追悼市川崑劇場』に書かせていただきました。
 一応、リアルタイムで全盛期に立ち会えなかった世代から見た市川崑について、という内容です。キャプションに<二十代のシネフィル>と書いてありますが、早速知り合いの映画ライター氏やら三名ほどから矢継ぎ早に「あと数カ月で三十のクセして何が二十代だ」「いつからシネフィルになったんだ」と突っ込まれましたが、自称してるワケでもなし、別にいーじゃないっすかと返しておきましたが。

 私の書いたのは置くとして、この追悼特集自体は市川崑関連の特集記事が載ると古本も含めて集めていた身からしても、とても充実していると思いますので、普段『映画秘宝』は読む習慣が無いという方も是非一読していただきたいと思います。
 市川組の助監督として、リメイク版『犬神家の一族』では監督補佐を務めた手塚昌明監督、市川作品の要である編集を担当してきた長田千鶴子さんのインタビューは、市川作品を読み解く重要な証言を含んでいると思いますので必読です。
 執筆者では森遊机氏、ミルクマン斉藤氏といった90年代から始まった市川崑再評価の礎を築いた方々から、『18人の金田一耕助』という著書もある山田誠二氏による『木枯らし紋次郎』、キネ旬の市川版『八つ墓村』特集の際に金田一映画の詳細な系譜を書いていたと記憶する轟夕起夫氏、他にも磯田勉、鈴木義昭真魚八重子真魚さんのネット上で読める秀逸な『股旅』評は必読)各氏他の作品解説は、今後市川作品を観ていく上での絶好のサブテキストになると思います。
 個人的には、前々から市川崑ファンと聞きつつも、詳しいハナシを読む機会が無かった平野勝之監督インタビューが特に興味を惹きました。
 市川崑監督は、ジャンルを縦横無尽に横断するアレモコレモが魅力と思いますが、今回の特集は、文芸名作だけでもカルト作品だけでも底抜け大作だけでも金田一だけでもない、アレモコレモを目一杯詰め込んだものになっていると思いますので、これを機に市川崑というキーワードだけで、アレモコレモ観ていって欲しいと思います。