『CREA クレア 1994.2』『曠野の歌』

(9)『CREA クレア 1994.2』

(10)『曠野の歌 深尾道典作品集』

 1994年の『CREA』が100円だったので購入。映画特集で当時立ち読みしていたが、淀川長治×双葉十三郎の“国宝対談”とか、小西さんとか如何にもあの時代な面々が懐かしい。しかし小西さんはこの時も『黒い十人の女』を推している。それが3年後にリヴァイヴァル上映に結びつく。
 『曠野の歌 深尾道典作品集』は千円で。箱入りの立派な本だが、発刊時期(1970)には深尾道典の監督作はまだ実現しておらず、前年に山下耕作の『おんな侠客卍』の脚本を鈴木則文中島貞夫の共同で書いているだけだ。しかし、おそらく一部で注目は集まっていたのだろう。2年前に脚本に参加した大島渚の『絞死刑』が公開されていたからだ。『絞死刑』の脚本は元々、深尾道典に大島渚が依頼したものだった。大島と深尾の出会いは『天草四郎時貞』の撮影で東映京都に大島が入った際に助監督として付き合い始めたのが最初だ。そのせいか、本書の冒頭には70ページ近くの長文で大島が深尾との出会い、作品解説を書いている。掲載作は『いつでもないいつか、どこでもないどこか』『奇妙な鳥がやってきた』『曠野の歌』『豪雨』『妙子という少女』『蛇海』。この『いつでもないいつか、どこでもないどこか』が『絞死刑』の原典となつた脚本だ。巻末に『怨恨風景』と題した一文を唐十郎が寄せている。『好色源平絵巻』で唐十郎が深尾道典監督作に出演したのは、本書の刊行から3年後のことだ。
 さて、その深尾道典の復活が近付いてきたようだ。『日を愛しむ』という監督作が準備されている。2002年頃、撮影が準備されているという報があったが、その後、実際に撮影されたのだがどうなのかはっきりせず、お蔵入りが続いているという噂もあった。実際のところは当時は撮影にこぎつけなかったようで、遂に今年、撮影が始まる。以下のリンクを辿れば、分かるが、まとめれば今年の5月か6月に三浦友和浅茅陽子渡辺えり原田芳雄らの出演で撮影に入るらしい。『女医の愛欲日記』『好色源平絵巻』に続く監督第三作が間もなく実現しようとしている。実に32年ぶりの監督作だけに期待したい。

http://www.bcap.co.jp/s-hochi/08-02/n080212.html#3
http://www.nnn.co.jp/news/081125/20081125007.html
http://www.tottori-fc.jp/TFCnikki.htm
http://dandelion.s93.xrea.com/bbs/su2_diary/su2_diary.cgi#239
http://takoshacho.sblo.jp/article/22900821.html

曠野の歌―深尾道典作品集 (1970年)

曠野の歌―深尾道典作品集 (1970年)