『DVU 02』

(13)『DVU 02』


 創刊号の濃密なインタビューで注目を集めた『DVU』の第2号が発売されたと聞いて、前回購入した青山ブックセンターへ行ってみたが置いてない。妙に執着して新宿の模索舎まで行ってみたらあったので早速購入したが、前号を超えて更に面白い。
 今号からA5サイズになっているが、レイアウトもすっきりして読み易くなっているし、インタビューも充実している。『DVU』は濃密なインタビューをやる雑誌として2号目で定着した感がある。その人選の濃さは下記の名前を読めば分かるが、個人的にも映芸で高橋洋さんが頻繁に名前を挙げていたので気になる存在だった新谷尚之ヂ氏のインタビューに、怖いもの知らずの浅井隆氏のインタビューも凄い。気になる存在への興味から動いているので読んでいて嫌味がない。聞き手が必要以上に背伸びすることも卑下することもないのが良い。
 そして何といっても驚いたのが、「ふや町映画タウンインタビュー」だ。自分がこの店の存在を知ったのは、boidに寄稿された一文からだ(→http://www.boid-s.com/others/259.php)。『DVU』の編集者も同じだと言う。気になる存在ではあったが、それ以降どのメディアも取り上げない。では自分たちで聞きに行こうという姿勢が素晴らしい。お陰で充実したインタビューを読むことができて、既に現在は休業になっているようだが、こういう場があったのだということを記録することができた貴重なインタビューになっている。

漫画家・アニメーション作家・映画監督 新谷尚之インタビュー
『映画の魔』(高橋洋)にて度々言及され、『ソドムの市』(04年 監督:高橋洋)にて特撮と出演、ホームページ上で高橋洋と往復書簡公開、『映画映術』08年度ベストテン・ワーストテンにて高橋洋・井川耕一郎両氏がその最新作『灰土警部の事件簿 人喰山』に投票と、名前を見かけたびに気になっていたアニメーション作家の自宅を訪ね、上映機会が限られた自主映画作品を見てのインタビュー。
書き下ろしの漫画『川の女 その後』も掲載。
新谷尚之ホームページ:過去の漫画やアニメの一部を見ることができます。


浅井隆インタビュー
ブログ、I-pod、デジタルビデオなどのメディアのあり方を90年代から模索するアップリンク主宰の浅井隆に,『眠り姫』(07年 七里圭)・『ヴァンダの部屋』(00年)など有望DV作品が出てきた今でも漠然と残るネットやデジタルへの不安や疑問をぶつける。


西村隆インタビュー
PFF創設初期から自主映画に関わり、現在、ユニジャパンでデジタルムービー・自主映画の海外での上映・配給を行なう西村隆。(4月にドイツ・フランクフルトにて開催されたNIPPON CONNECTIONで『ラザロ』(監督:井土紀州)、『童貞。をプロデュース』(松江哲明)、『一万年、後….。』(沖島勲)などの配給を担当。)
 映画産業の渦中で感じる現在の自主映画の魅力や海外でも通用する作品とその役割についてインタビュー。 


市山尚三インタビュー
巨大なコングロマリットの大資本の下、マーケティング至上主義による所謂ブロックバスタームービーが跋扈する一方で、膨大なレファレンスに彩られた、ある種サブカルチャーとしての自主映画群のカルト的隆盛の二極化が進む映画界。
そんな中で、東京フィルメックスは「おもしろさ」を基準に、商業映画も自主映画もフィルムもDVも巨匠も若手監督にも等しく目を配り、スタッフの国内外のフィールドワークからラインナップを作り出す。
松竹〜TIFF〜フィルメックスと活動の場を移し、“興行としての映画”と“芸術としての映画”の両方の視点から映画を紹介し続ける、活躍する市山尚三氏に取材。


ふや町映画タウンインタビュー
「ふや町映画タウン」とは京都市中京区の麩屋通りのレンタルビデオ屋。店主・大森氏が一人で、正月から年中無休で営業、世界レベルの量質を誇るレンタルビデオ店を切盛りしている。労を惜しまず出費を抑え、利益は更なるビデオの購入に当て発信と交流の場を作る在り方や可能性を考える試み。
ただし「ふや町映画タウン」は現在休業中。サイトにて所蔵ビデオの一部を確認できます。


サイズ:A5
部数:600
頁数:136値段:800円