「映画秘宝 2009年4月号」

映画秘宝 2009年 04月号 [雑誌]

映画秘宝 2009年 04月号 [雑誌]

 発売中の「映画秘宝 2009年4月号」で、特集<映画で観る戦前事件簿!!>に『実録・阿部定』のレビューを、特集<新東宝映画のすべて>で「石井輝男と地帯シリーズ」というのを書いておりますので、よろしくお願いいたします。
 今号は旧作日本映画方面の特集が充実していて、一読者としても大変面白かったです。『丑三つの村』『226』DVD発売に合わせた<映画で観る戦前事件簿!!>には真魚八重子さんの『丑三つの村』レビューも載っていますので、DVDに合わせて読んで頂きたいと思います。<新東宝映画のすべて>は執筆されている方が充実していますので、現在シネマート系で新東宝の大規模な特集が組まれているので絶好のサブテキストになるかと思います。そういう方々の濃密なテキストの中に拙文が紛れているのが何ですが、若い方面からの視点ということで、よしなにお願いします。そして「女番長」シリーズのDVD化に合わせた鈴木則文監督のインタビューやら、関本郁夫監督のインタビューやらも大変嬉しいところです。もっと長く読みたいぐらい。
 そして、「帰ってきた!日本セクスプロイテーション映画興亡史」の第7回が登場。更に小川欽也監督、乱孝寿インタビューなどピンク映画史的にも重要な証言が。ラピュタ阿佐ヶ谷の「60年代まぼろしの官能女優たち」と共にじっくり読みたいと思います。
 特集記事はDVDや特集上映と連動することが多いわけですが、フト気付けば「女番長」シリーズやら『丑三つの村』やら、DVDが発売されることの嬉しさで反射的に予約してしまっていたので、そろそろ一気に届き始めるワケで…全く金のことを考えずに注文してしまったことを今更ながら後悔しています。ブレッソンの『抵抗』も死ぬほど好きなので買わないわけにはいかず。

『伝記 毛沢東』(☆☆☆★)

戦後の作家展関連上映 映画監督・大島渚

(17)『伝記 毛沢東
☆☆☆★ 川崎市民ミュージアム
ディレクター/大島渚  語り/大島渚
1978年 日本 カラー 66分

 川崎市民ミュージアムで行われている「戦後の作家展関連上映 映画監督・大島渚」では、劇映画以外にもテレビドキュメンタリーが上映されている。それらの作品は過去の大規模な大島渚のレトロスペクティヴで上映されたというが、首都圏から程遠い場に住んでいた遅れてきた世代としては今回の特集は貴重で、これまで観る機会が無かっただけに是非観ようと思っていた。初日の『ごぜ 盲目の女旅芸人』と『裸の時代 ポルノ映画・愛のコリーダ』は見事に寝過して見逃すという幸先の良いスタートを切った。大体自分は午前中は起きれないし、起きても使い物にならないから、午後から夜中にかけてで構わない仕事へと徐々にシフトさせたぐらい午前中を避けた人生を送っているのだから、土台11時に川崎市民ミュージアムに到着するのは不可能なのかと思ったが、奇跡的に2日目は起きることができた。しかし、駅には着いたもののバスの時間が合わず、金もないのにタクシーで向かう。午前中のテレビドキュメンタリーは入場料無料なので、タクシー代を何とか納得させるが、帰りのバスが何故か故障し、途中で代替バスに乗り換えさせられ料金がタダになったので、まあ全体としては損はしてないと思うことにした。
 肝心の作品は、ライブラリー・ドキュメンタリー時代の大島渚のテレビドキュメンタリーにはじめて触れることができた(以前観たことがあるのは『日本映画の百年』ぐらいだ)ことの感動が大きかったが、予想通り大島自身の決して聞き取り易いとは言い難いナレーションで毛沢東の人生が語られていく。しかしそれを、です・ます調で語るのが意外で、柔らかな印象を与えた。殊に少年期の写真に加えれたナレーションには大島の少年への思い入れにどうしても注目してしまうが、取り立てて少年期に熱が入っているようにも見受けられなかった。しかし、大島の声は徐々に熱を帯び始め、革命期には最高潮に達する。
 大島はこの作品以前にも『毛沢東 その生涯と文化大革命』というテレビドキュメンタリーを「20世紀アワー」の枠で製作している筈で比べてみたい。

『大東亜戦争』(☆☆☆★)

恵比寿映像祭 大島渚の戦争 敗者は映像を持たない

(18)『大東亜戦争
☆☆☆★ 東京都写真美術館
構成/大島渚  語り/小松方正 戸浦六宏
1978年 日本 モノクロ 98分


 1日の間に場所を変えて、大島渚のテレビドキュメンタリーを2本連続で観る機会というのは随分と珍しいと思う。しかも共に川崎市民ミュージアムに所蔵されているビデオを使っての上映だ。午前中の『伝記 毛沢東』に続いて午後は、これまた長い間タイトルのみを耳にしていた『大東亜戦争』を観ることができた。何故今回この作品が恵比寿映像祭で上映されることになったのかは知らないが、想像では今回の映画祭に関係しているらしい宇川直宏氏の推薦ではないかと思うのだが。というのも、『御法度』公開時に宇川直宏×中原昌也対談というのがあって、今どこにもフィルムが残ってなくて『大東亜戦争』を観ることができないと宇川氏が話していたからだ。
 上映前に川崎市民ミュージアムのキュレーターが語ったところでは、現在川崎市民ミュージアムには大島のテレビドキュメンタリーが15本保存されているそうだ。本作は、前篇、後篇に分けて放送されたという。
 冒頭には本作が当時の言葉、音、音楽もすべて当時のものを使用していることが文字で示される。実際には足りない箇所は小松方正が当時のニュースフィルムの語調で読み、更にクレジットがないので確認できないが、戸浦六宏は客観視したナレーションを行っていた。そういう意味で、厳密に言えばこの作品で示される当時の画、音のみで構成されているというのはウソで、むしろ追加された映像、音に注目する方が面白い。度々挿入される年月日を示した文字に『新宿泥棒日記』を思う。
 それにしても小松方正の特徴ある声で“大本営発表!!”というフレーズをループで聞かされ続けると中毒症状を起こしそうになった。

『恐怖のロンドン塔』

(39)『恐怖のロンドン塔』

 HMVでFOXのカルトシリーズからロジャー・コーマンの『恐怖のロンドン塔』が50%OFFだったので購入。2000円。しかしFOXなので、ある時、突然千円で投げ売りされそうで怖い。半額だからと迂闊に買ってはいけないのではないか。

『キネマ旬報 2009年 3月上旬号』

(11)『キネマ旬報 2009年 3月上旬号』

 『チェンジリング』特集で小林信彦×芝山幹郎対談。森卓也の隔週連載もあり、満足。

キネマ旬報 2009年 3/1号 [雑誌]

キネマ旬報 2009年 3/1号 [雑誌]

『ユリイカ 1981.6』『年鑑代表シナリオ 1981年版』

(11)『ユリイカ 1981.6』

(12)『年鑑代表シナリオ 1981年版』

 『ユリイカ』は、「特集/小津安二郎〜甦る映像の世界」。500円。
 『年鑑代表シナリオ 1981年版』は市川崑の『幸福』のシナリオが掲載されているので。キネ旬で公開時に載ったシナリオは持っているが、まあ買っておく。