『陽気な巴里っ子』

映画の授業 古典映画編

 アテネフランセにルビッチを観に、などと言うと、シネフィルだね的な物言いをされることがあるのだが、自分はシネフィルと呼ばれるヒトほど多くの作品を観ているわけでもないので他人事にしか思えないが、そういった外的印象だけで、ルビッチが敬遠されるのは残念なことだと最近思いだしたのは、先日、今度のドイツ映画祭で、昨年に続き、ルビッチの『パッション』『花嫁人形』『白黒姉妹』がピアノとヴァイオリンの演奏付きで上映されるというのでチケットを取ったら、例によって朝日新聞主催の映画イベントのバカ高い料金のお陰で、前売りでも1回券2000円という高値で、ルビッチを観るのに計4000円払わされたことからも、とてもちょっと気軽に観ようという層は観に来たりはしない価格設定になっていたことと併せて、ルビッチのような本来現在でも古びることないエンターテインメント作品が一部の好事家層でしか消費されないのは残念なことだと改めて思ったからだ。
 そういう意味では、アテネでの今回の「映画の授業 古典映画編」など、会員登録が必要ではあるが、千円で2本観ることができるワケだし、自分のように今日は最後の1本のみを観るとなると600円で観れた。又、3日券を買えば、2500円で6本の作品を観れるワケなので、安価で名作を楽しむことが出来る画期的な上映会の筈なので、ルビッチのような老若男女楽しめる至福のエンターテインメントは、もっと幅広く享受されて欲しいと思う。 

117)『陽気な巴里っ子』[So this is Paris] (アテネ・フランセ文化センター) ☆☆☆☆

1926年 アメリカ モノクロ スタンダード 68分
監督/エルンスト・ルビッチ    脚本/ハンス・クレーリー     出演/テ・ブルー パッツィ・ルース・ミラー アンドレ・ベランジェ リリアン・タシュマン マーナ・ロイ