『東京ディープスロート夫人』(☆☆☆★)

molmot2008-09-11

 『週刊新潮』に掲載されると知って以来、ひょっとしたらと思ったが、やはりこういった形になってしまった。
 来週の上映会を楽しみにしていただけに無念。中止になってしまうのか。
 やはり都内で観ることは難しいのだろうか。
 それにしても気になるのは『週刊新潮』側から接触したのか、渡辺監督側から宣伝的に接触したのか。
 『ノモンハン』と『天皇伝説』のチラシは入手したが、裏面に書かれた文樹節も凄かった。次回作は『三島由紀夫』と書いてあった…。 

街灯にポスター張った容疑、映画監督逮捕 警視庁公安部
 街路灯に映画のポスターを張ったとして、警視庁公安部は11日、住所不定、映画監督渡辺文樹容疑者(55)を軽犯罪法違反(はり札)の疑いで現行犯逮捕した。容疑を否認しているという。

 公安部によると、同日午前4時10分ごろ、東京都江東区亀戸4丁目で、「天皇伝説」と題した映画の告知ポスターを街路灯に張ったのが逮捕容疑。ポスターには「現天皇昭和天皇の子ではない」との趣旨も書かれていた。一緒にいた30代の女性からも事情を聴いている。

 渡辺容疑者は、天皇制に反対する活動家と警察とのせめぎ合いを描いた映画「腹腹時計」や中学生の自殺を題材にした「ザザンボ」などの作品で知られる。



http://www.asahi.com/national/update/0911/TKY200809110170.html


 シネマヴェーラ渋谷妄執、異形の人々III」で、向井寛東京ディープスロート夫人』(☆☆☆★)を観る。
 初見。向井寛が東映で撮った噂に聞く作品だが、思ったよりもしっかりした作りだった。
 それにしても、クリトリスを喉に移植するというのが凄い。脚本は鴨井達比古小平裕
 フィクサー的雰囲気を漂わせる室田日出男が凝ったメイクで登場するが、目のあたりのメイクとか、やってるなあと思っていると、医師の渡辺文雄が対面した後の車中で「あの眼を見ましたか。あれは頭がおかしい」と言うものだから笑う。
 田口久美演じる主人公が知らない内に、義父室田の策略でクリトリスを喉に移植させられる。移植後はフェラが凄いことになるのは当然としても、食べたり飲んだりする度に感じまくるというのが何とも。結果、バナナをすんごいイヤらしく口に入れるという。大阪へ向かう新幹線の車中でまでバナナを求めてそんな食い方をするという国鉄への嫌がらせみたいなシーンもある。
 大阪でトルコ嬢になるシークエンスが取ってつけたようで、開巻で見せたボクサーと再会するのが上手く機能しているとは思えなかったが、港を歩く二人を逆光で捉えたショットなど良い。
 終盤の、田口に首輪をして室田がフェラさせていると、田口の夫にして室田の息子が猟銃を手にやって来るという緊迫感溢れるシーンがあるが、室田が息子におまえも後から突けと。親子で出来るぞと。まさかと思っていると、息子は猟銃を置いて後から突き始めるので笑う。その後の猟銃がどう展開するかも含めて驚く。
ラストの田口久美のしたたかさが良かった。
 今年亡くなった向井寛へ思いを馳せながら、観ることが叶わない向井寛の作品をもっと観たく思った。



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 ついでに中古ビデオ『黒の天使 Vol.2』購入。300円。今は無き新世界のシネフェスタで観た。客、誰もいなかった。そういえば、大和武士が出ているので、しばらく観るのが難しくなるかもしれない。日本映画専門チャンネル阪本順治の特集が放送されるが、ラインナップから『鉄拳』や『トカレフ』が、大和武士が殺人未遂で逮捕されたからという理由で外されている。殺人を犯そうが作品や演技は別なのに、たかが殺人未遂で作品を封印しようとする動きはどうなのか。何が問題なのか分からない。
黒の天使 Vol.2 デラックス版 [DVD]

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