三宮アサヒシネマ閉館

5月いっぱいで閉館し、跡地にはホテルが建つそうだ。
高校に入った頃から、ここに通い続けてミニシアター系の作品に触れることができた。「時の翼にのって」「ギルバート・グレイプ」「恋する惑星」「天使の涙」「イルポスティーノ」「ユージュアルサスペクツ」「恋人たちの食卓」etc、まだまだ観て観て、観まくった。自分の映画観はここで育まれたと言って良い。決して劇場は綺麗ではないし、音も良くない。しかし、味わい深い秀作を、次々に見せてくれた。大学に入ってからは、大阪で事足りるので足が遠のいたが、見逃した作品を追いかけて何度か来た。卒業後、再び神戸で働くようになったものの、忙しさになかなか足は向かず、僅かに「KT」や「穴」を観た程度だった。震災時には奇跡的に倒壊を免れ、いち早く上映を再会したものの、メジャー系劇場の代換に用いられ、仕方なく思いつつも寂しい思いをした。神戸のミニシアター文化は、自分が高校生の頃はabシネマとアサヒシネマが並び立っていた。震災以降abシネマは松竹系の封切館になってしまい、アサヒシネマのみの奮闘となったが、2002年にシネリーヴル神戸が3館出来、閉館したabシネマの跡地にシネカノン神戸が出来たと聞く。新開地のKAVCを含めて、単館系劇場が7〜9館存在するという信じられない状況になっているようだが、やはり最古参であるアサヒシネマが身を引く形になったのか。もし、できることなら閉館までにもう一度観に行くことができればと思う。