『Cops VS. Thugs』『Yakuza Graveyard』『Sonny Chiba: The Masutatsu Oyama Trilogy』『Lethal Chiba』『Screwed』『Who's Camus Anyway?』

161)『Cops VS. Thugs』〔県警対組織暴力〕 (深作欣二) 
162)『Yakuza Graveyard』〔やくざの墓場 くちなしの花〕 (深作欣二) 
Sonny Chiba: The Masutatsu Oyama Trilogy
163)『Karate Bull Fighter』〔けんか空手 極真拳〕 (山口和彦) 
164)『Karate Bear Fighter』〔けんか空手 極真無頼拳〕 (山口和彦) 
165)『Karate For Life』〔空手バカ一代〕 (山口和彦) 
Lethal Chiba
166)『Killing Machine』〔少林寺拳法〕 (鈴木則文) 
167)『The Executioner』〔直撃!地獄拳〕 (石井輝男) 
168)『Karate Inferno: Executioner II』〔直撃地獄拳 大逆転〕 (石井輝男) 
169)『Screwed』〔ねじ式〕 (石井輝男) 
170)『Who's Camus Anyway?』〔カミュなんて知らない〕 (柳町光男) 


 30%OFFだったので、見境なく購入。
 『県警対組織暴力』、二千円。取調室で拓ボンをボコボコにする映画史モノのシークエンスは、当時テレビマンユニオンの特番で現場の様子が撮影されていたお陰で、撮影中の深作の表情を捉えることに成功している。リズム良く顔を左右に揺らしながらテンポを計るような仕草を繰り返しながら動きをつけていく。その映像には映し出されていないが、笠原和夫も偶々現場に来ており、このシーンの撮影を見て、引っくり返って喜んでいた由。
 同じく二千円で深作×笠原の結果的に最後のコンビ作となった『やくざの墓場 くちなしの花』を。笠原は終生本作の完成版を観なかったとのこと。冒頭に、当時『愛のコリーダ』撮影(大映京都撮影所で撮影)で京都に来ていたと思われる大島渚が何故か警察署長役で出演している。翌年の『北陸代理戦争』で渡瀬恒彦の代役に当初若松孝二を指名したのは、ここでの大島の起用からの発想かどうか。
 『Sonny Chiba: The Masutatsu Oyama Trilogy』は、2500円以下で買えてしまう破格ぶりに驚きつつ購入。期せずして山口和彦監督作が並ぶ。山口和彦って、これまで全く意識しておらず、後から思えば『多羅尾伴内 鬼面村の惨劇』『ビッグマグナム 黒岩先生』『菩提樹 リンデンバウム』が監督作だったと気付いたぐらいで、子供の頃にテレビで観た千葉の空手映画の1、2本もそうだとは思うのだが、再見しないとはっきりしない。名前を意識したのは、昨年亀有にオープンしたシネコンで実写版『こちら葛飾区 亀有公園前派出所』をようやく観た時で、フィルモグラフィーを眺めて<初期の作品郡は今ならラピュタ阿佐ヶ谷あたりでレトロスペクティブやれば良い>と書いたが、この1年でそれがこちらの願望を遥かに超える形で実現していることに驚く。確かに現在ラピュタ阿佐ヶ谷で、山口和彦初期作の『ずべ公番長』シリーズが上映されているが、『こち亀』上映以降、やたらと山口和彦に行き当たるようになってきた。「妄執I・II」での『怪猫トルコ風呂』のニュープリント上映、『ウルフガイ 燃えろ狼男』、更にシネマヴェーラの次々回特集「スポーツする映画たち」では、『世界最強の格闘技 殺人空手』までが上映されてしまう。海外盤DVDでの山口和彦作品の充実ぶりといい、主要作を一気に観ることは相当困難と思えていたが、同時多発的な勝手にレトロスペクティヴ状態となっている。こうなると、未見作の中でも一際気になる『銀蝶渡り鳥』シリーズが観たい。
 『Lethal Chiba』は更に安価で3本入ったBOXで二千円。『直撃!地獄拳』『直撃地獄拳 大逆転』あたりは、難波の場末の劇場で3本立てで繰り返し観たクチである。
 『ねじ式』1500円。最後の2作にはノレなかったので、私見ではこの作品が最後の傑作ということになる。この流れで、企画されていた『人間失格』などがそのまま映画化されていれば相当凄いことになったのではないかと今でも思うが、『地獄』のスタッフ降板劇以降は、撮影所システム・スタッフの職人技術不在の映画作りの困難さと、それまでの石井作品を支えていたものが顕著に表れることとなった。
 『カミュなんて知らない』1500円。作品としては、大いに引っかかる作品だったが、それゆえに購入して何度となくその時々に見返したい。力強い真の失敗作だからこそ。