『DOORⅢ』『寝盗られ宗介』『GONIN2』『ゲーム』『バウンド』『スウィート ヒアアフター 』

54)『DOORⅢ』(黒沢清) 
55)『寝盗られ宗介』(若松孝二) 
56)『GONIN2』(石井隆) 
57)『ゲーム』(デビッド・フィンチャー) 
58)『バウンド』(アンディ・ウォシャウスキー) 
59)『スウィート ヒアアフター』(アトム・エゴヤン

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 54)『LOFT』公開時に、「女性主演って黒沢作品では?」「『DOORⅢ』があるんです」というようなインタビューでのやり取りもあったが、『DOOR』シリーズは小学生の頃、高橋伴明が監督した1作目が『金曜ロードショー』で放送されたのを観て(たぶん公開から1年ぐらいの頃だろうから1989年か)以来、レンタルで観ているが、今思うと、『DOOR』をよくゴールデンでやったなと思う。下元史朗を初めて観たのはこの作品ではないかと思う 。『DOOR?』は1996年製作だから、あの頃でも確か、黒沢清が今頃『DOOR』シリーズ?と思ったのを覚えている。あまり触れられることにない作品なので、再見して記憶を新たにしておきたい。

 55)90年代前半、『我に撃つ用意あり』を撮影途中に資金難で松竹に買い取らせて以降、若松孝二と松竹の関係は―60年代にも大谷会長と何故か若松が懇意で、松竹で『金瓶梅』を撮るという出来事もあったが―奥山和由が気に入ったこともあって急速に接近していく。『寝盗られ宗介』に関しては、奥山から若松に、つかこうへい作品で何かやりたいものはないかという打診があり、若松は『ストリッパー物語』を挙げ、交渉するも、つかから、既に澤井信一郎が撮ることで脚本も最終段階なので『寝盗られ宗介』を薦められてこちらに乗り換えたと言う。結果的には『ストリッパー物語』は未映画化に終わり、荒井晴彦脚本『ガラスの仮面』、笠原和夫脚本『真珠湾』と共に90年代の幻の澤井作品と化している。
 『寝盗られ宗介』脚本を、つかが書いている途中で、奥山は若松に長谷部安春が監督する予定で進んでいた『エロティックな関係』が、内田裕也と長谷部の間でトラブルとなり、長谷部がイン直前に降板する事態となり、内田主演作を2本撮っている若松(『十階のモスキート』『コミック雑誌なんかいらない!』も、内田は当初若松に監督を依頼しているが、若松は自身の助監督を務めていた崔洋一滝田洋二郎に振り、夫々のデビュー作、初の一般映画監督作というキッカケを作り出している)に急遽監督依頼が来たので仕方なく引き受けている。脚本は、ピンク映画では名の知られた片岡修二がゴーストで書いているが、クレジットでは内田裕也長谷部安春となっている。パリでのロケ、ビートたけし宮沢りえ共演という作品ではあったが、急遽この作品を撮っていた為に、つかとの行き違いが起こり、つかから若松は降板を要請されたりもしたらしいが、その後和解し、映画化にこぎつけ、若松作品中でも最も一般的に評価される作品となった。興行的に当たればシリーズ化の予定もあったようだが、適わなかった。ハナシは逸れるが、奥山のつかこうへい好きは、その前後の『幕末純情伝』や、市川崑とつかこうへいに共同脚本を書かせてしまい、イン1週間前に中止となった『長嶋茂雄殺人事件』に至るまで幾度となく企画されているようだ。
 若松と奥山の関係は、その後も続き、1998年には田中陽造脚本、永瀬正敏主演で、谷崎潤一郎原作の『痴人の愛』をシネマジャパネスクで映画化することが決まり、撮影直前まで進んでいたようだが、例の奥山の解任騒動で中止となり、二人の関係はそこで終わっている。もし、そのまま進んでいれば、若松の現在も、或いは『実録・連合赤軍』も違った形で実現していたかも知れないとも思うが、笠原和夫が証言していた『226』の際の奥山親子の秩父宮の扱いの及び腰や、『ザザンボ』問題を考えると、そう巧くもいかないかとも思うが。

 56)こちらも奥山和由プロデュース作。何だかんだ言われつつ、石井隆を『GONIN』でメジャー番線に乗せ、その後も『GONIN2』『黒の天使 VOL.1』『黒の天使 VOL.2』、日活に奥山が移ってからの『フリーズ・ミー』と作品を撮らせ続けたのは評価すべきことで、角川春樹奥山和由・仙頭武則が日本映画を悪くした、彼らが居なくなったから日本映画が良くなったというようなことを言うヒトがいるが、確かに問題もあったし、秀作ばかりではないが、共通して彼らは量産し続けいたことだけは評価しなければならないと思う。そこで撮る機会を得た者がその後、質の高い作品を残したりもしているのだから、その時監督に抜擢されなければ現在の姿はない。
 『GONIN2』は確か、公開直前に興行形態をレイトショーのみみたいな変則的興行にしていた筈で、『外科室』の50分千円興行が当たってから奥山は、『パテオ』のような完結編のみ劇場公開をやったり、連ドラ最終話のみを劇場でかけるとか、『RAMPO』前後編連続公開構想など、諸々興行形態を工夫してたが、『外科室』以降は成功してはおらず、『GONIN2』もそういった思いつきに使用されてしまい、殆ど目に触れないまま終わった感がある。

 57)デビッド・フィンチャーはそんなに好きじゃない、と言いにくい雰囲気が長らくあったが、一貫して観てはいるのだが、『セブン』も悪くないとは言え、そんなに大したものとは何度観ても思えないし、『ファイト・クラブ』もやはり観終わって異物感が残ったものの、それが高評価というわけではなかった。
 『ゲーム』は公開時、ナビオ阪急の梅田スカラ座で観たが、エンドロールに入ると、「これで終わりかい!」という突っ込みが一斉に上がった。ま、『スターどっきり(秘)報告』みたいなハナシなので、クソゲーと言われてもいたが、まあまあそう怒ることはなく、小野ヤスシがジャケット着て登場しそうだったが、出てこなかった。
 新作が公開されたので、一応一通り全作品を再見してから観ようと思っていたが、他の作品はLDとDVDで揃っているのに、『ゲーム』だけ無かったから中古ビデオで購入。

 58)ウォシャウスキー兄弟デビュー作。公開時は東京ではどうだったか知らないが、大阪のOS・CAPはガラガラだった。物凄く面白いのでこの兄弟には期待したが、続く『マトリックス』がまあまあで、『マトリックス・リローデット』で見放した。

 59)アトム・エゴヤンは好きなので、『スウィート ヒアアフター』にも大いに乗れた。公開時以降再見していないこともあり、購入。